このエントリーでは、前の記事でオンライン展開を始められたとご紹介した、金沢の「ほんわか寺子屋」(不登校、ひきこもりの親子など向けに運営されている)の坂本茂樹さん(しげっちゃん)とZoomでお話したこと。私がしげっちゃんに伝えた「本音」、自然なユニークさで生きられる社会にしたい思い、そこから、「支援」でも「サービス」でもなく、独創性、独自性、自然なユニークさを伸ばせる教育が必要だと思うことについて、お話しします。

【内容】

1 「ほんわか寺子屋」のしげっちゃん(坂本茂樹さん)とZoom対話!

  1.1 どちらも、お決まりの支援者コースからかけ離れた「世の中のなんでも現場とする主義」

  1.2 本音で話せるのは楽しい! 「エビデンス=実証(主義)大嫌い」「不登校、ひきこもり問題や臨床心理学の本、面白くないんですよ」

2 「支援」以外の事業を:ユニークな子ども・若者が、真にユニークに生きる力をつけるには

  2.1 「支援」構造の弊害

  2.2 雇用側に「良いと思ってもらえる」「『空白期間』をうまく説明できる」ようになる支援ばかりでは、ユニークな生き方は生まれない

  2.3 「ユニークなじぶんらしい」仕事を選んだり、「じぶんらしい仕事を創る」ことができるための教育とは― 独創性、独自性が育つために

前回の記事で、金沢で不登校、ひきこもりの親子の方などのために「ほんわか寺子屋」を運営する坂本茂樹さん(しげっちゃん)が、「ほんわか寺子屋」をオンライン展開された(オンライン展開のご案内サイトは、こちらです)、とご紹介しました。

その後、坂本さん(しげっちゃん)とZoomでお話することができました。

しげっちゃんも私も、世間一般からみれば、「え、こんな現場で働くの?」「なぜこういう仕事(活動)をするの?」といった経験はじめ、世の中のだれからでも、どこでも学べるとする主義。ふつうの支援の専門職者養成コースや、「支援の専門職者として、お勤め実務経験十何年です」といったコースとは、縁がなかったようです。しげっちゃんも私も、むやみに、目的意識なしに、どこででも働いてきたわけではないのですよ。

本音で話せるのは、楽しいものですね。「エビデンス=実証(主義)大嫌い」「不登校やひきこもり問題や臨床心理学の本、面白くないんですよ」(後者は私のことば)は、くわしく説明すると、長くなるので、またの機会にしますね。

「何々国家資格の専門職の『先生』」が「支援する」のも、「当事者」や「親御さん」が「支援をうける」のも、それがあたりまえで、望ましい道であるかのように考えられる社会になりました。私も、おそらくしげっちゃんも、「支援」「サービス」といったことばを、「便宜上」以外の意味で使うことはないですね。私の場合は、この「支援」構造がもっている弊害を痛感するためです。

「支援」構造の弊害、問題。たくさんあります。一度、そこを離れたつもりで、考えてみてください。「サービス」ということばも、私は使いたくないな。ことばって、大切です。そのことばのなかに収まるようなじぶんに、なっていくか、じぶん(の仕事)を言い表すことばには、どうしてもならず、違和感、問題意識に悩むから。

就労「支援」を例にあげてみます。何年もひきこもってきた方が、働くための面接で、雇用側/採用側に「良いと思ってもらえるように」「ひきこもっていた『空白期間』は、うまく説明できるように」履歴書作成や面接での受け答えのしかたを、私も助言、サポートすることがあります。

でも、人に「気に入られるように」じぶんを作る。うん、協調性も適応力も見込んでもらえる人間になれるように、「支援」してもらうのね。でも、協調性、適応力って、ものさしのひとつに過ぎません。それを無理に作ることで、犠牲にするユニークさ、独創性は多いです。

そしてそもそも、「空白期間」ってなんでしょう? 働いていなかった期間を、そう呼ぶことがおかしいと、私なら考えます。だって、働けなかったその期間、その方は「空白」でいたわけではないのだから。苦しんで、生きていたのだから。「空白期間が多いのはだめだ」と考える雇用社会の価値観に、「もうそれ、やめませんか」と提言したい。

たしかに、自然なユニークさ、「みんなとおなじふうではないこと」を伸ばして、社会で働いて生きていけるように、そんな仕事を選択したり、「じぶんで創る」のは、容易なことではありません。私など、5才の娘を育てながら、いまの「じぶんらしい」仕事を成り立たせるのに、一日50時間あっても足りません。

与えられた仕事を、きちんとこなす勤勉さには、ひじょうに長けていた日本人。AIの台頭を、とくべつ意識しなくても、日本人がこれまで、けっして得意としなかった、独創性ゆたかな、ユニークな生き方や仕事を増やしたい。そのために必要な教育は、どんなものだろうか。いつも、考えています。

 

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